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血糖値とアルツハイマー

こんにちは。佐々木です。
今回は、久山町スタディの論文をご紹介しつつ、コメントします。

まず、久山町スタディについて、簡単にご紹介を。
一部の業界の人では、知らない人は誰もいないという、超有名な研究です。
福岡県の久山町という人口約8000人の町で、ほとんどの住民の方が、この研究に対象者として参加して、生活習慣病などの発症がどの程度おこるかなどの追跡調査が行われています。
1961年から現在まで継続して行われいるのも特徴です。
これだけの人数を、数十年に渡って追跡研究しているすっごい研究なんです。

この久山町スタディで明らかにされたのが、耐糖能異常がある人は、アルツハイマー症や脳血管認知症になりやすい ということ。

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図をご覧ください。

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(アルツハイマー病と耐糖能異常:久山町認知症研究 図3より引用)

耐糖能異常がある人はない人に比べて、4.2倍脳血管性認知症になりやすく、4.6倍アルツハイマー症になりやすいことを示しています。

これは、アルツハイマー病患者さんの脳内に多くみられる老人斑の構成成分(βアミロイド蛋白)が、耐糖能異常がある人では増加することが関係しているようです 。ただ、全容はまだ解明されていないので、そのメカニズムが全て分かるのは、もう少し先のようです。

 

【私の見解】

糖尿病とアルツハイマー症の関連は海外でも多く報告されていますが、糖尿病の一歩手前である耐糖能異常の状態であっても、認知症の原因となることが分かったことは、「血糖値が少し高いけど、まだ糖尿病の域ではないから、大丈夫」なんて思っている方に、「いえいえ。早めの血糖値対策が必要なんですよ」と教えてあげるいいエビデンスだと思います。

用語解説

アルツハイマー症・・認知症の原因疾患として最も多い。
耐糖能異常・・75g 経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)や空腹時血糖値において、正常型と糖尿病型のいずれにも含まれない、いわゆる「糖尿病予備軍」や「境界型」といわれる群。

武田ら、糖尿病とアルツハイマー病における相互的な病態修飾機序の解明,肥満研究2010;Vol. 16 No.3 http://www.jasso.or.jp/data/topic/topics16_3192.pdf

佐々木由樹

東京都出身 女子栄養大学栄養学部卒業
東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻 社会予防疫学分野 客員研究員

UPDATE : 2013.09.20

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