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何をもって、糖質制限!?

最近、市民権を得た糖質制限
かなり知名度も高まってきているようです。

とてもプライベートな例ですが、
先日行った美容院での会話でも、糖質制限が話題になりました。

美容師「俺、糖質制限始めたんだけど、どうなんですか?」

私「目的は?」

美容師「年齢が年齢なんで(たぶん40代くらい)、今のうちに少し体をしぼって、あとはそれを維持したいと思って。」

私「無理なくやっているんですよね?いーじゃないですか。しばらく続けてみたらどうですか?ところで、糖質制限って、どのくらいの制限しているの?」

美容師「夕食のご飯を抜いています。」

私「あ、そのくらいなら、全然平気ですね。」

と、他愛無い会話なのですが、糖質制限といっても、人によって制限の幅にとても差があるんだな~、と感じました。

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実は、“糖質制限”の明確な定義はないんです。

学術の世界でも、一日○○g以下を糖質制限とする、エネルギー比率○○%以下を糖質制限とする、などの定義は存在しません。

このコラムを担当するようになってから、糖質制限に関する論文を読んでいますが、研究によっても、糖質制限の幅は違います。

以前のコラム「糖質制限、地中海食、脂質制限の決着は?」でお伝えしたイスラエルでの研究では、最初の2か月は糖質を20g/日に制限し、その後は徐々に120gまで増やしていました。
(Iris Shai et,al. N Engl J Med. 2008;359(3):229-41.)

また、「糖質制限vs脂質制限」の23個の試験の結果を比較した論文では、
それぞれの研究で使われた、糖質制限の定義が書かれています。

それを見ると、1番制限の厳しいもので、糖質を20g/日以下や、
糖質エネルギー比(i)で4%以下に制限しているものがありました。
制限が穏やかなもので、糖質エネルギー比40~45%程度です。
(Hu T, et,al. Am J Epidemiol. 2012;176 Suppl 7:S44-54.)

<私の見解>

では、冒頭に登場した美容師さんは、どのくらいの糖質制限をしているのでしょうか?

3食のうち、1食の主食を抜くと、糖質エネルギー比40~45%くらいになります。
研究の視点から見ると、穏やかな糖質制限の部類ですね。

この程度であれば、人によっては無理なく続けられるのではないでしょうか。

以前のコラム「軽い糖質制限でも、効果アリ!?」でも書いたように、

糖質エネルギー比40%くらいの糖質制限でも、肥満の人には効果があるようです。

では、1日20g以下の糖質量の食事とはどんな食事なのでしょうか。
全く主食は抜きで、糖質量の多い野菜や芋類、果物も食べられません。
ほとんど、お肉、お魚、卵、大豆類、葉物野菜が中心になります。

ここまでやると、主食から摂れる糖質以外の他の栄養素の不足も気になります。

さて、話を今回の本題に戻すと、糖質制限に明確な定義はないものの、論文等を見ている限りでは、糖質エネルギー比45%あたりから下のものを、“糖質制限”という傾向にありそうです。


(i)糖質エネルギー比:摂取エネルギーのうち、何%を糖質由来のエネルギーが占めているかを示すものです。

佐々木由樹

東京都出身 女子栄養大学栄養学部卒業
東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻 社会予防疫学分野 客員研究員

UPDATE : 2014.07.22

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