糖質制限が注目だけど、脂質も気になるよね

糖質のとり過ぎが良くないのは分かったけれど、脂質だってとり過ぎは良くないのでは？　減らせばダイエットや生活習慣病の予防・改善にもいいはず。どっちを減らした方が効果的なのでしょうか。

安全で有効な食事療法は何かを検討するために行われた大規模な比較試験「DIRECT試験」では、肥満の男女322人を糖質制限食群（最初の2ヵ月は糖質20g/日以下、以降は120g/日以下、カロリー制限なし）、脂質制限食群（脂質からのエネルギー摂取30％以下、カロリー制限あり）、地中海食群（脂質からのエネルギー摂取35％以下、カロリー制限あり）の三つにランダムに分け、体重のほか、生活習慣病に関連するさまざまな測定値について、2年間の変化を調べました。なお地中海食というのは、主食はパスタが中心、野菜をたくさんとり、肉よりも魚を食べ、脂質は主にナッツやオリーブオイルからとる食事法です。

ダイエットでは糖質制限に軍配

早期に大きなダイエット効果が得られたのは、糖質制限食群です（グラフ1）。試験終了時までずっと、脂質制限食群よりも体重を低く維持しています。動脈硬化の指標となる検査値も、糖質制限食群の成績が最もよかったという結果も出ています。

（Shai I et al., N Engl J Med, 359（3）, 229-241, 2008より改変）

そして試験終了から4年後、さまざまなデータがどう変化したかという結果が発表されたのですが、体重やコレステロール値など、糖質制限食群では脂質制限食群よりも、おおむね良い結果が出ています。

でも……糖質制限食群の体重や中性脂肪値のリバウンドが気になるところ（グラフ2）。体重は結局、地中海食群が一番低く維持された、という結果も見逃せません。これってどういうことでしょう？　続きは糖質制限の落とし穴へ。

（Schwarzfuchs D et al., N Engl J Med, 367（14）,1373-1374, 2012より改変）