ぶどう糖に代役はいない?
足りなくなっても、からだの中で作れるし、いざというときは代役が登場。
生きていくうえで絶え間なく必要なエネルギーを補給するために、肝臓は毎分1.8~2.2㎎/kg(体重)のブドウ糖を血中に放出し続けています。
動いたり考えたりするためにプラスアルファでエネルギーが必要になったけれど、血中に十分なぶどう糖がない……。そんなときも肝臓は、蓄えていたグリコーゲンをぶどう糖に戻すほか、アミノ酸や、脂質に含まれるグリセロールを原料にぶどう糖を作り出すこともできるんです。
そんな大切なエネルギー源、ぶどう糖には“代役”がいない? いえいえそれでは困るので、肝臓では、中性脂肪が分解されてできた脂肪酸から「ケトン体」という物質を作り出します。筋肉も脳も、エネルギー源としてケトン体を利用することができます。
じゃあ逆に、ぶどう糖がなくても、ケトン体があればそれでいいかというと……。ケトン体は酸性物質なので、増えすぎると血液が酸性に傾く「ケトアシドーシス」を起こします。重症の場合、全身のさまざまな機能が低下します。やはり基本のエネルギー源はぶどう糖で、ケトン体はピンチヒッターといったところでしょうか。
ホルモンがコントロール
大切なぶどう糖を「ため込みモード」にするのもインスリンというホルモンですが、ぶどう糖を全身に供給するという「放出モード」にするのも、ケトン体を作らせようとするのもホルモンの働きです。
例えば脳から出る「成長ホルモン」は、肝臓でのグリコーゲンの分解を促します。運動時やストレスが高いときには、副腎から「アドレナリン」や「ノルアドレナリン」というホルモンが出て、血中のぶどう糖量を増やします。
参考: | 日本糖尿病学会 編,糖尿病専門医ガイドブック 改訂第5版,診断と治療社,4,2012 |
UPDATE : 2015.09.18
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