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肥満の原因は炭水化物!? 実験開始

こんにちは。佐々木です。
今日は、日経新聞のWebサイトに面白い記事が出ていたので、
その記事をご紹介しつつ、私の見解を述べます。

「覆るか、肥満の定説 原因はカロリー? 炭水化物? 」
http://www.nikkei.com/article/DGXBZO61433170S3A021C1000000/?df=2&dg=1
日経サイエンス 2013/10/26

記事では、今までの肥満対策の根本について、疑問を持ち、真の肥満対策を明らかにするための実験プランを紹介しています。

今まで、肥満になる原因とは、炭水化物、たんぱく質、脂質からのカロリー摂取が、消費カロリーより上回ることによって起こるとされてきました。

対して、新しい仮説は、インスリンが多く出ることで、肥満を惹起するのであるから、インスリン分泌を促進する炭水化物の摂取を減らすことに重点を置いた方がいいのではないか、というもの。

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インスリンは、すい臓から分泌されるホルモンで、様々な働きを持ちます。
特に有名なのは、食事をして血糖値が上がったときに、血糖値を下げてくれる作用があるということ。

なぜ、血糖値が下がるのか、ざっくりとですがインスリンの作用機序を説明すると・・、

食事をして血糖値があがる。

すい臓からインスリンが分泌される。

血液中の血糖値が、筋肉や脂肪細胞に取り込まれる。

血液中から血糖が減り、血糖値が下がる。

筋肉や脂肪細胞に取り込まれた糖は、エネルギー源として使われたり、脂肪の合成に使われたりする。

となります。

そして、インスリン説を検証するために、アメリカで下記の調査が始まるそうです

(以下、Web内本文より引用)
太り気味もしくは肥満の被験者16人が研究施設に滞在し、平均的な米国人と同じ内容の食事を取ってもらう。ただし食べる量はコントロールし、被験者の脂肪が増加も減少もしていない状態を実現する。摂取カロリーと消費カロリーを正確に一致させるわけだ。

次の段階では、被験者にそれまでの摂取カロリーとまったく同じカロリーを取ってもらうが、炭水化物の総量を大幅に抑制する。

もし脂肪の蓄積が主に摂取カロリーと消費カロリーの不均衡によるものなら、被験者は消費カロリーとまったく同じカロリーを摂取しているのだから体重は増えも減りもしないはず。一方、もし炭水化物の摂取量が大きな影響を及ぼすのなら、炭水化物制限食で被験者の体重と脂肪はともに減少することになる。

・・(引用終わり)・・

という内容だそうです。

詳しい調査のプロトコール(手順や条件)は分かりませんが、炭水化物制限食を被験者がきちんと完食するかどうかはポイントになると思います。

というのも、極端な炭水化物制限の食事は、飽きてしまい、今までと同じ摂取カロリーを維持するのが困難であることが多いからです。過去の研究からも、短期間での炭水化物制限は有効である報告は多数出ています。

つまり、今回の調査では、単に、炭水化物制限食は、飽きの問題から摂取カロリーが少なくなってしまっているから、ダイエットに成功できていたのか!?
それとも、インスリンというホルモン分泌を減らすことが重要なのか!?

この議論に決着をつける1つの足掛かりになるのかもしれません。

結果の報告が楽しみです!

佐々木由樹

東京都出身 女子栄養大学栄養学部卒業
東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻 社会予防疫学分野 客員研究員

UPDATE : 2013.11.15

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