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野菜を先に食べることは効果があるのか!?

「糖質制限の食事療法-糖尿病学会でシンポ 日本人の体質・食環境に合った導入を」

http://sankei.jp.msn.com/life/news/130611/bdy13061107230001-n1.htm(産経ニュース)のレビュー記事を、全5回に渡ってお送りします。

本日は、全5回の第2回目です。

こんにちは。佐々木です。
今回は、ニュース記事の中の村上文代教授(安田女子大学家政学部)のコメントに注目して、解説していきます!(^^)!

村上先生のコメント
「炭水化物をひたすら減らすのではなく、取り過ぎた量を是正するという考え方が大切。食物繊維が多い野菜、次いで肉類、主食(ご飯やパン)の順で食べるなど食べ方の工夫でも急激な血糖値の上昇は防げる」

近年、注目される「野菜が先」な食べ方。

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今回は、糖尿病患者の食事方法として、効果的かどうか、
はたして、本当に野菜を先に食べることで、糖尿病が改善するのか?
さぐっていきましょう。

【チェックポイント】

「野菜が先」の食事法と、食品交換法を使った「従来法」を比較した調査があったので紹介します。

2型糖尿病患者さん101名のうち、
69人を「野菜先」チーム、32人を「従来法」チームに分けて、
2年間で、血糖値などがどう変化するか調べたものです。

結果は、「野菜先」チームの方が、「従来法」チームに比べて、
ヘモグロビンA1cが有意に低下しました。

 

ヘモグロビンA1c(%)
調査前 1年後 2年後
野菜先 8.3 6.7 6.8
従来法 8.2 7.2 7.3

 

この結果のカラクリは、
「野菜先」チームの方が、ご飯の摂取量が減って、緑黄色野菜の摂取量が増えたことにありました。その結果として、当然摂取カロリーも減少しました。

 

【私の見解】

 

ということで、野菜を先に食べる意識をすることで、ご飯が減って、緑黄色野菜が増えるので、
糖尿病患者さんが野菜を先に食べることは良い!
といえます。

(Imai S,et al. Asia Pac J Clin Nutr. 2011;20(2):161-8.)

 

巷では、「血糖値が急激に上がるとインスリンが過剰に分泌されて、太りやすくなる」
「食物繊維をたくさん摂ると血糖値が急激に上がらない」
「だから野菜を先に食べるといい」
と言われていますが・・、それはまた次回のコラムで詳しくご紹介します。

ところで、ここからは糖質に関する研究をもっと知りたい方向けですが・・・

先ほどの研究では、
・2年間で薬が変更になった患者さんが多かった。
・糖尿病歴7年くらいの患者さんが対象となったので、従来法を知っている人もたくさんいた。
・2年間最後まで栄養指導に参加したのが「野菜先」で65%、「従来法」で31%と、開きがあった。

このあたりの点で、研究の精度としては、多少注意して検討する必要があります。

ですが、野菜を多く摂ること自体、悪いことでは全くないですし、
むしろ、奨励されるものですから、
糖尿病の患者さんが「野菜を先」を意識すること自体はとてもいいことだと思います。

佐々木由樹

東京都出身 女子栄養大学栄養学部卒業
東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻 社会予防疫学分野 客員研究員

UPDATE : 2013.08.03

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